CHARTER OF PUBLIC ACCOUNTABILITY
Japanese Version
Translated by Prof. Hiro Eto (July 2003)
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パブリック・アカウンタビリティー憲章
―― 公的説明責任に関する基本理念
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ジェフリー・ハント著,江藤裕之訳
グローバル化社会を迎えた今日,大組織には例外なくアカウンタビリティー,すなわち説明責任が求められている.アカウンタビリティーとは,一定の責任を負う者が,その意図,行為,不作為等について関係者に説明し正当化するための準備であると同時に,この準備を明らかにする手段のことでもある.組織がアカウンタビリティーを果たさなければ,自然環境は破壊され,人々はお互いに不和となり,そして究極的にはひとりひとりの人間の自立すら危ぶまれてしまう.その結果,人々に危害を与え,社会に害毒をもたらし,命あるものを損傷し,さらには自然環境への害をもたらすことは避けられない.
人間性を守る3つの基本的請願
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人は,自らのQOL(生活の質),そして子孫のQOLに多大な影響を及ぼす組織(行政,民間,ボランティア組織を問わず)に対し,業務や活動内容についてのアカウンタビリティーを要求する権利を等しく有する.
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行政,及び民間団体(営利,非営利を問わず)の責任者は,その意図,行為,不作為について,QOLに影響を及ぼす関係者全員に説明し正当化する義務がある.
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何人からも,職場における信条の自由と言論の自由についての権利を奪うことはできない.
透明性
大組織を運営する者に当然とされる行為は,以下の事項について,部下にそうであってほしいと求める態度で,寛容さと包容力を持ちつつ,自らも振舞うことである.
公開性
秘密,隠匿,欺瞞,歪曲を避ける.個人の合法的プライバシーを尊重することは当然であるが,権限を有する者が根拠のない秘密主義に固執する言い訳として,プライバシーや機密性を持ち出すべきではない.
関与
組織活動の結果を知らせず,組織活動に関与させない(官僚機構の大きさ,中間物の存在,技術,命令系統などの理由で)ことを避ける.企業活動の結果に直接影響される人々が,可能な限り組織活動へ関与し,常に情報にアクセスできるような状態を保障するために,適切な処置を取らなければならない.規模縮小,委任,地域化,権限委譲,パートナー関係が奨励される.
個人の責任
分別・思慮深さ(判断,創造性)は人間に問われる第一の資質である.大組織を運営する者は,他人――それぞれがみな等しく大切である――の生命・生活・人生に影響を及ぼす決断を行う人間として,自らが行使する特権,とりわけ重大な特権を認識し受け入れ,また,その責務を見過ごしてはならない.ましてや,規則,規制,法律,あるいは組織構造の欠陥や進行状況の不備を理由に責任逃れをしてはならない.
いかなる組織においても,真のリーダーたるべき資質は,自らの行為の真意に対し批判的かつ客観的に疑問を投げかける意志があるかどうか,その影響を受ける人々の立場に必ず自分自身や最愛の人をおいて考えた上で決定に至ることができるかどうかを見れば明らかである.
判断の独立
人間には,他人の大切な幸福を犠牲にし,あるいは無視してまでも自分自身の幸福を追い求める傾向がある.権限を有する者は,ほとんどすべての人間に共通するこういった傾向を率直に認めることが特に重要である.
この点を認めた上で判断の中立性を保つために,権限を有する者は――権限の分割,適正な手続き,立証のための適切な基準,そして利害衝突の問題を解決し排除する目的で立案されコンセンサスの取れた透明な手法を通して――自らの権限に制限があることを受け入れるべきである.
無差別
人間誰しも,偏見,好み,受け止め方,先入観などが見えなくなってしまうことがあると率直に認めることは,権限を有する者にとってとりわけ重要なことである.この点を認めた上で,権限を有する者が努めることは,ひとりひとりの人間に――人種,性別,身体的障害,信条,年齢に関係なく――自分自身や最愛の人に対する場合と同じように接することである.
権限を有する者は,その意図,判断,行為,不作為において特に慎重であることが望ましい.自らの行為の真意と予測される結果を吟味する際には,善意でなされた批判にはよく耳を傾けるべきであり,周囲の人々とともに差別禁止の予防手段に従うべきである.
和解
権限を有する者は,その意図,判断,行為,不作為が,結果として他人に害を及ぼした場合――故意によるもの,過失によるもの,無意識によるもの,手違いによるものにかかわらず――には,直接謝罪を行い,さらに,償い,和解,弁償,もしくは修復を即座に行うべきである.「害とは何か」という問を簡単に答えるとすれば,権限を有する者が自分自身,もしくは最愛の人に起こってほしくないものは何であれ「害」であるといえよう.
正当化の義務
大組織を運営する者は,次の事項を念頭に踏まえつつ,寛容さと包容力をもって,説明と正当化を行うことが当然とされる.
知る権利
権限を有する者の意図,判断,行為,不作為の結果から直接影響を受ける人は,その意図,判断,行為,不作為の内容について知る当然の権利を有する.この前提は,人々の知る権利を常に支持している.つまり,権限を有する者はいかなる例外をも公に説明しなければならないという責任がある.
知らせる義務
人々が有する「知る権利」は,行政・企業が有する「人々に知らせる義務」と表裏一体をなす.権限を有する者は情報を提供する責務を有し,また自分の部下にも積極的に情報を提供させるように努めなければならない.これは,権限を有する者の意図,判断,行為,不作為が多くの人々,もしくは特定の個人に顕著な影響を与える場合には必須のことである.
人の関心はさまざまであり,また間接的な利害が問題になることもある.そこで,権限を有する者は(正当化すべき特殊な場合を除き),一般大衆の求めていることを当然分かっていると思い込んではいけない.
適正情報の提供
権限を有する者は,社会,及び個々の人々が必要とする情報を,量,種類,質ともに適正に与えるべきである.それによって人々は権限を有する者の意図,判断,行為,不作為を評価することができる.
一般的に,権限を有する者は積極的に情報を与えるべきである.その情報とは,彼ら自身もしくは最愛の人が影響を受ける立場の人々であれば,おそらく知りたいと思うような情報のことである.
積極的に提示された内容でも,受動的に利用されるに過ぎない内容であっても,情報は受け手にとって真に価値あるもの(利用できるもの)であるべきだ.情報を選択し,集計し,解釈し,まとめ,編集し,提示する責任者がこの原則を十分に理解し,それに則って情報処理が行われるようにする義務が権限を有する者にはある.情報作成者や情報提供者自身,もしくはその最愛の人が情報を必要とする人々の立場にいると考えることができれば,情報の価値を測る指標は,作成者や提供者にとっての価値と等しいものであるといえよう.
社会に分裂や誤解をもたらすような情報は真に価値があるものとはいえない.
得やすい情報
積極的に与えられた情報は,差別・不公平がなく,等しくすべての人々に利用されなければならない.言語,障害,場所,個人や社会の資力といった要因を考慮する必要がある.
情報はまたタイムリーであるべきだ.積極的に提供される情報以外は,要求に応じて即座に利用を可能とすべきである.そして,もしその情報が利用できない場合は,その十分な理由を公に説明するのは権限を有する者の任務である.
親交
なぜ情報が重要なのか.その唯一の理由は,理解を得ることが人間関係の基本であるからだ.権限を有する者はこの視点を受け入れるべきである.組織決定から影響を受ける人々は自らの立場が理解されることを望み,状況についての理解を共有したいと願っている.権限を有する組織は,関係者――特に,権利を侵害された人々――との理解に到達するため必要なことを行う用意があって当然である.理解にいたる側面とは,誤りを素直に認めること,正面から相手と向かい合うこと,相手の言うことに積極的に耳を傾けること,責任を受け入れること,関心を示すこと,相手の身になって考えること,必要があれば可能な限り早急に謝罪すること,である.
適用
情報を有益に利用することは最も重要である.権限を有する者は,一般の人々が専門知識や,機会,そしてその内容を理解し利用する能力をもち得ないような情報(例えば,公衆衛生に関する情報)を入手する権限,情報源,そして機会を有している.
情報の量,質,入手の可能性,価値といった要求に合わせようと努力する一方で,権限を有する者は,社会全体の利益を見据えた中で――その社会は最愛の人だけで成り立っているかのように――情報を応用・活用し,それに基づいて行動すべきである.
良心の自由
すべての組織活動関係者に,その活動に関連した言論と良心の自由が保証されることなしには,パブリック・アカウンタビリティー(公的説明責任)はありえない.
同意
関係者(組織内で権限を有する者も含む)との交渉は,十分に情報が提供された上での自由意思による同意(自発的インフォームド・コンセント)の原則に従って行われるべきである.これは,個々人が自らの生命・生活・人生を決定していく上で,それぞれの権利を認めることである.
促進
障害物や支障となるものを取り除き,重要な意志決定(政策決定)へ関係者を参画させることは重要である.組織は,促進,奨励,支援に向けて重要な貢献をすべきである.
理解
関係者(組織内で権限を有する者も含む)とは,意識的に,理解可能な議論の言葉を取決め,必要があれば独立した第三者組織を間に立てるなどして,相互理解を深め,第三者に対しても正しく理解されるように日々努力しなくてはならない.
多様性
異なる関係者(組織内で権限を有する者も含む)は,さまざまな利害,態度,動機,視点が存在することをはっきりと認めなければならない.そして,どの点においてこの多様性が合意形成に役立ち,どの点において妥協や公平な仲裁が必要とされる障壁を隠さず認めることが適切なのかを明らかにしなければならない.
参加
関係者は,組織の意志決定に参加する権利を有する.この参加には,相談,代表,直接関与といったさまざまな方法がある.そして,関係者に対する組織活動の影響が強いほど,参加はより直接的(中間物を排除する)な形にすべきである.一般的に,組織は,より効果的な意志決定を可能にするために最も強力な形の参加を目指すべきである.そして,参加は,言い逃れ,目こぼし,責任転嫁の手段として,誤って使われるべきではない.
問題提起
すべての関係者は社会的関心事を自由に提起したことで罰せられるようなことがあってはならない.これは,特に組織内の良心的な被雇用者に適応される.問題を提起する者は,現状を考慮しつつ,責任と公正さを持つ義務がある.そして,権限を有する者は,一般の人々の関心に対する理解があり,その受け入れを促進し,またその関心に耳を傾け,公正かつ迅速に対処すべきである.